1. 無料アクセス解析
気が向いた時にしか書けない(描けない)小説やらマンガの進行状況がわかるよ!

スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

東方異聞奇譚 閑話:缶詰のさくらんぼは美味くない。
 松太郎は余四郎を連れて、近所の喫茶店「娑土都湖(さどとこ)」へ行った。
 余四郎は「娑土都湖」のプリンアラモードが大好きなのだ。プリンアラモードを夕食前に食べてしまうと、ご飯が食べられなくなる。かわいい子に、好きな物を食べさせてあげるタイミングが難しい。
 二時半くらいに連れて行き、その後一杯遊んであげると、余四郎は夕食もきちんと食べられる。晩御飯を残すと、怒られ、半べそをかきながら、いつまでも食べ続ける余四郎を見るのは辛い。

 プリンにのっかかっている少し生クリームがかかったさくらんぼを、余四郎は松太郎にあげるといって渡した。

「余四郎はさくらんぼう嫌いなのか」
「お店で出てくるさくらんぼうは嫌い」

 国産の高級さくらんぼは兄の分まで食べている。缶詰のさくらんぼうは嫌みたいだ。

 プリンアラモードを食べる余四郎を正面からニタニタと笑いながら松太郎は見ていた。
 アイスコーヒーを飲み干してしまい、松太郎は可愛い余四郎を観察する以外ない。

「松兄ちゃん、飲み物空っぽになったよ」

 余四郎にいわれ、松太郎は注文した。余四郎は味わってプリンを食べている。
 もぎゅもぎゅと動く口元が愛くるしい。

 やけに食べるのが遅くないか?
 ここに来る前に、何かおやつを食べたのか?

 余四郎はゆっくりと食べる。

 アイスコーヒーを二杯。オレンジジュースを一杯。りんごジュースを二杯飲んだ松太郎のダムは満水である。
 厠に行こうと思ったが、可愛い余四郎を一人おいていけない。
 松太郎が席を外した瞬間、余四郎をさらうやつがいるかもしれない。

 白地に紅い手まり模様の着物を着た余四郎は、どこからみても可愛い小さな女の子だ。

 松太郎は喫茶店内にいる客を見る。

 老夫婦と、若い女子二人組み。
 おしゃべりに華を咲かせているが、実は松太郎が席を外した隙に、余四郎を連れ去ろうと企んでいるかもしれない。

 安心できない!
 そして、俺のダムも安心できない!

 松太郎のダムは決壊寸前である。こんなところで決壊してしまったら、大惨事間違いない!

 余四郎か、ダムか。
 余四郎か、ダムか。
 余四郎か、ダムか。


 悩んだあげく、松太郎はマスターを呼んだ。

「マスター。俺のかわりに余四郎を頼む」

 生きて帰ってこれるかわからない戦場に向かう前、大切な人を友に託すかのように、松太郎はマスターに余四郎を頼むと、厠へと直行した。


 マスターは松太郎の居た席に座り、いつもよりゆっくりプリンアラモードを食べる余四郎を見ていた。

「よしくん、今日はゆっくり食べてるね」

 うんと余四郎は頷いた。


「松兄ちゃんの困った顔見るの、楽しいの」

 余四郎は松太郎の困った顔を見るために、無理矢理ジュースをすすめたのだった。

「お兄ちゃん、いじめたら、ダメだよ」
「はーい」

 と聞き分けのいい子どものようにこたえたが、いうことを聞くつもりは微塵もない。

 松太郎は、ダムをからっぽにするまで、長い時間がかかった。

☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

 余四郎は何をしても松太郎が怒らないことを知っていて、悪いことばかりしているのでございます。

コメントの投稿

 管理者にだけ表示を許可する

トラックバック
トラックバック URL

Copyright © ダラックス~年中冬眠中~. all rights reserved.
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。