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東方異聞奇譚 閑話:店屋物事件
 井東家には凄腕のお抱え料理人がいる。一度は店屋物をとってみたいと思い、両親がいない休日の昼、松太郎は余四郎に何が食べたいか聞いてみた。


「余四郎、何食べたい」
「おしゅし」

 小さい余四郎はまだきちんとお寿司といえない。そこがなんともかわいい。

「お寿司だな。余四郎はまだ小さいからサビ抜きにしてもらおうか。特上、松、竹、梅のどれがいい」

 松太郎は、「松・竹・梅」を強調して告げた。

「ちょっと待て」

 梅三郎には松は松太郎、竹は竹次郎、梅は自分で、その内誰がいいと尋ねているように聞こえた。

「寿司のランクだよな? それ以外何の意味も含まれていないだろうな? もし自分の名前の一部のものを選ばれたら、余四郎に一番好かれているとかいわないよな」

 余四郎が梅を選ぶ可能性は低いので、梅三郎はピリピリしていた。
 それに、松太郎のことだ。ここで、松が選ばれたら、鬼の首をとったかのようにはしゃぎまくるだろう。

 俺が一番余四郎に好かれてるぅぅぅ~。きゃっほいっ!

 竹次郎と梅三郎の脳裏には、馬鹿騒ぎする姿が思い浮かんできた。何だか無性に腹立たしくなってくる。

「余四郎は特上や松を頼んでも食べきれないと思い、別のものを頼むかも知れんぞ」

 竹次郎が間に入る。

 竹! そんな入れ知恵をしたら、余四郎が松、すなわち俺を選ばなくなるじゃないか!

 状況が不利になってきた気がする。松太郎は優位に立つため、力説した。

「お前ら、余四郎に、うまいもの食わせたくないのか!」
「だったら、はじめから、特上頼めよ!」

 三人の乱闘が始まった。梅三郎に跳び蹴りをくらい畳の上に倒れた松太郎は、竹次郎に腕挫十字固めをかけられ、「ギブ! ギブ! ギブーーー!」と叫んでいた。

 ずいぶん長い間、メニューを見て考えていた余四郎が一言告げた。

「特上。皆で仲良く食べるの」

 三人の兄たちはどんなに怒声を上げていても、余四郎の小さな声は聞き逃さない。ケンカはピタリと止まった。
 

 井東家の食卓に店屋物のお寿司が到着した。

「余四郎、好きなもの食べていいからな」
「うん」

 余四郎はいくら、うに、タイ、ヒラメばかり食べた。食欲旺盛な年頃である兄たちは、残っているタマゴやイカ、いなり寿司を食べるはめになった。余四郎がおいしそうに食べる大トロを、羨ましそうに見ていた。

☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

 この後と兄たちは、がっつりカツ丼を食べに行った。
 余四郎は、勿論兄たちが食べたそうなのを選んで食べていますの。
 さどっこだから。

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